ビジョン・アシミレーション〜ビジョンを浸透させる方法〜


組織のビジョンや理念などはただ作れば機能するわけではありません。全てのメンバーがそれを活かして行けるように自分のものにする必要があります。
その為には日々の様々な取り組みが重要ですが、その第一歩として〈ビジョン・アシミレーション〉が有効です。

【時間】3時間~4時間程度
【人数】3人~10人程度(多い場合は4人前後の複数グループに分けて)
【セッティング】半サークル
【道具】模造紙、水性マーカー、ポストイット等、A4用紙

手順

  1. 事前準備
    事前にビジョンについて資料などで全員に知らせておく。少なくとも知識としてある程度知っている状態で参加してもらいます。
  2. セッティング
    壁に模造紙を4枚貼り、それが見える様に半サークル型に椅子で囲みます。
  3. 概要
    まず、ファシリテーターから目的、進め方、終了時間などの説明をします。
  4. 思いを伝える
    ビジョンを発信する立場、一番思いを持って伝えられる人(通常は組織のリーダー)からなぜそのビジョンが必要なのか?どういう思いで作られたビジョンなのか?何の為のものか?などを思いを込めて伝えます。
    あまり参加者が受け身になりすぎないよう、時間をかけてしっかり伝えるよりも、短い時間で思いを伝えます。
    15分程度
  5. リーダー退室
    自由な発言と意見交換を促進するため、リーダーには退席していただきます。参加メンバーの発言は模造紙に記録されますが、その発言者は特定されない様にファシリテーター(又は板書担当者等)が模造紙に書き出します。
    必要であればリーダーはオブザーバーとして室内に残ります。そこではあくまでオブザーバーに徹し、質問に答えたり、発言したりといった事はしません。
  6. 4ステップの問い
    以下の4ステップの問い でビジョンの捉え方を「他人事」から「自分たちのもの」に近づけて行きます。
    準備で用意した4枚の模造紙1枚につき1つの問いを記録しながら進めます。
     
    1. 「ビジョンについて知っていること」
      ビジョンについて、メンバーがどう理解しているのかを聞きます。 この中でメンバー同士の意見の投げ合いも歓迎します。もしかすると、全員が必ずしも正しい理解をしていないかもしれません。他のメンバーの理解と自分の理解が違っていれば、それはビジョンの曖昧なところです。これについてお互いの意見を交換する事で理解が深まります。
      20分〜30分程度
    2. 「ビジョンについての疑問/質問」
      最初の「知っている事」を話していると、「知らない事」も見えて来ます。ここでビジョンについてよく分からない事や更に詳しく知りたいことをあげてもらいます。
      「これって現実にどんな方法で実現するつもりなんだろう?」「これについて予算はどれくらい割くつもりなんだろう?」 などなど、どんな事でもかまいません。
      特に、ネガティブなことや普段は聞きづらい事もどんどん出してもらう様にします。リーダーがこの場に居ないことによって、こういった事を発言しやすくしています。
      また、ここでの疑問について、メンバー同士の中で答を持っている場合もあります。お互い意見を投げ合いながら、メンバー同士で解決できる事は解決してしまってかまいません。
      (※ただし、ここで「正解を知っている人」と「知らない人」という力関係が生まれてしまうようであれば、 少し控える様にします。あくまでフラットな関係での意見交換が理想です。)
      30分〜45分程度
    3. 「ビジョンとリーダーへの期待」
      「もっとこうだったらいいのに」という要望をあげてもらいます。「新しくこれに取り組むなら、既存の業務量を減らしてほしい」「リーダーにはまず現場を知ってもらいたい」など、無責任に聞こえる事も遠慮なくあげて行きます。
      30分〜45分程度
    4. 「私が/私たちが貢献できる事」
      このビジョンのために参加メンバーがどのような貢献が出来るかを聞きます。それぞれの強みを活かした関わり方、新しいアイデアなどを歓迎します。
      30分程度
  7. メンバーの休憩とリーダーへのブリーフィング
    今度は参加メンバー全員に退室してもらい、リーダーに入室してもらいます。
    ファシリテーターからリーダーへ 模造紙へ記録された内容を元にどのような話があったかを説明します。特に、言葉だけでは伝わらないニュアンスや発言者の意図を説明します。
    この時に発言者が特定されないように気をつけます。
    リーダーはこれによってメンバーがビジョンをどのように捉えているのかをネガティブな事も含めて把握する事が出来ます。
    20分〜30分程度
  8. リーダーからメンバーへのコメント
    上記ブリーフィングを踏まえて、リーダーからメンバーへコメントします。ここがビジョン・アシミレーションの肝の部分です。
    上記のブリーフィングによって、リーダーはメンバーと自分との間にある理解のギャップを捉える事が出来ます。そのギャップを明らかにし、メンバーにもそれを理解してもらう、またはそのギャップを埋めるのがこのステップです。 

    ● ビジョンについて、メンバーが誤解しているところがあれば正しい情報を伝える。
    ● メンバーの疑問に答えられるものについては答える
    ● 答の分からないものについてはキチンとその答はまだ持っていない事を伝える。 その上で「リーダーがいつまでに答える」のか、「これはみんなで一緒に答を探して行きたい」のかを伝えます。
    ● メンバーがあげた「できること」については感謝を伝えます。(もし不適切なものがあればそれは指摘します)
    45分程度
  9. チェックアウト
    最後に参加者全員が一言ずつ「今思っている事」や「始める前と比べて、 今感じている事」などをコメントして終了。
※ポイント
  • 参加メンバーとリーダーとの間にある認識ギャップを埋める事を目指して行います。
  • メンバーがどう認識しているのかを出来る限りオープンに出す事が重要です。
  • この後に、リーダーが部屋に残って、参加者と自由に話が出来る様にしたり、懇親会を持って縛りの無い話が出来ることは有効です。
    どんな対話も、メインの対話の後に懇親会等のオフの状態の対話の時間を持つ事で、そこで一番大事な気づきや発見、進展があります。